ダーヴィッシュのサウンド・エンジニアで昨年ケルティック・クリスマスで来日し、その帰国後のクリスマスの日に交通事故で亡くなったFinn
Corrigan氏の追悼のため、アイルランドの多くのミュージシャン達が駆けつけ、2日間に渡り演奏を行いました。
出演ミュージシャン(*一部変更もありました)
11/28(金)
ルナサ、フォー・メン&ザ・ドッグ、マーティン・オコナー、フランシス・ブラック、
ザ・ソー・ドクター、Sliabh Notes、The Screaming Blue Cats、Cadenza、Rock
and Roll Circus
11/29(土)
ダーヴィッシュ、キーラ、ダヌー、Lounge Lizards、Those Nervous Animals、Gay
Woods (Auto De Fe)、Indian、Headless Jelly Babies、Jarlath McTernan、Tabby
Callaghan (ex-Petronella)、マーティン・ヘイズ
▼http://www.dervish.ie
(詳細:ダーヴィッシュのオフィシャルHP)
ダーヴィッシュの出身地スライゴーは、ダブリンから電車で約3時間半の街。世界的に有名な文学者W.B.イエイツゆかりの地として多くの観光客が訪れる風光明媚なところです。街の中心部は歩いて回ってこれるくらいの小さなものですが、クリスマスのイルミネーションが既に美しく彩られて大変ロマンティックでした。
今回のイベントは、スライゴーでも未だかつてなかったという大きなもの。駅前のスライゴー・サザン・ホテルのホールは約5〜600人くらいが収容できるホールとのことですが、両日超満員で大盛況となりました。また、2日目のチケットは売り切れとの話。上記に記したような多くのミュージシャン達がこのためにかけつけ、また多くのファン、友人達なども来場し、Finnの生前の人望を感じさせました。
11月28日(金)イベント初日
会場前にホテルに到着した頃、今回のイベントのオーガナイザーであるダーヴィッシュのメンバーは大変忙しく働いているところでした。ビールのケースを運ぶキャシー、ポスターを貼るシェーン、サウンド・チェックするブライアンなど、それぞれが担当を分担し、またFinnの弟さんや友達までが忙しく動き回り協力しあってイベントを作り上げているといった感じでした。
イベントの司会をキャシーがつとめる中、予定の8:30ぴったりに始まり、それぞれのバンドが持ち時間30分をほぼきちっと守ってトラブルもなく進めていくというのはさすがでした。
1日目前半、メアリー・ブラックの妹でヴォーカリストのフランシス・ブラックが歌の合間にFinnについてMCした時は、場内がシーンとなり、バーの前で騒いでいた人たちも話を止め、聞き入りました。また前半のクライマックスというべきセッションは、マーティン・オコナー(アコーディオン)、カハル・ヘイデン(フォー・メン・アンド・ア・ドッグ/フィドラー)、シェイマス・オダウド(ダーヴィッシュ/ギタリスト)の3人のものでした。彼らはマーティンのアルバムでも共演していますが、この日演奏された「Road
To West 」は、目を見張るようなスピードと軽快なリズムの渦で会場全体が息をのみました。ユニゾンのところでは、3人が一体となって一糸乱れぬフレーズを展開し、まさに圧倒的。その後、イーリアン・パイパーのパディ・キーナンが加わり、徐々にフォー・メン・アンド・ア・ドッグのメンバーが加わって、夢のようなセッションへとなっていきました。
その後、ロック・バンドとして人気の高いThe Saw Doctorsが登場。ここで一気に観客のボルテージが上り、ある意味収拾がつかないくらいになっていたのですが、その音楽はとてもゴキゲンなものでした。一日目の取りというべき出番でルナサが出演した時には、ステージ前で踊りまくる観客に押しのけられてしまいましたが、会場の熱気はとんでもないくらい熱く、アンコールを求める声も非常に高かったです。
ルナサ出演の後は、地元のロック・バンドがロカビリーなどを演奏する中、深夜2時過ぎまでダンス・ミュージックが続き、老若男女分け隔てなく躍っている様子はほほえましかったです。こういう風景は日本では見られないですね。イベント・ホールがやっと空になったのは朝の3:30頃。この後も、一部のミュージシャン達が、ホテルのロビーに集まって朝の6:00頃まで飲んでいました。

11月29日(土)イベント2日目

ダーヴィッシュのアコーディオン奏者、シェーンとその友人がスライゴー観光に連れて行ってくれました。本番までのほんの少しの間でしたが、車でスライゴーのベン・ブレベン(「ハーモニー・ヒル」のジャケットに載っている山)山周辺や海岸などを案内してくれました。
イベント2日目は、1日めに予定していたマーティン・ヘイズが変更により出演。その演奏に魅了され、多くの観客がステージ前方にせり出して聴いていました。(ギタリストのデニス・カヒルは来られず、ダーヴィッシュのマイケルがブズーキでサポート)マーティンのフィドルはどうしてこんなにも流ちょうで躍動感があるのでしょうか?その後、キーラ、ダヌーなどのバンドが出演、観客がダンス・フロアーにあふれ出し、彼らのスピード感あふれるサウンドに乗りまくりました。キーラは残念ながらメンバー全員は来られなかったようですが、それでもグルーヴ感ある斬新なサウンドが観客を圧倒的に惹きつけました。ダヌーのステージでは最近加わった女性ヴォーカリストが素晴らしい喉を披露し好評を得ていたのが印象的でした。右上写真はダヌーのステージ中に人形使いが現れ、一人でおばあさんの人形を操って躍る芸を披露しているところ。
さて、ダーヴィッシュの登場。待ってましたとばかりに観客の大歓声があがり、リアムのフルートからオープニングの「Swallow's
Trail」から一気に畳みかけるようなテンションで演奏を展開。以前のメンバーであったシェーン・マッカリーア(フィドル)が参加し、更に熱狂に拍車が掛かりました。初来日公演ではついに演奏されなかったキャシーがリードを取る「Peigin
mo chroi」では会場が大合唱となり、あの「ライヴ・イン・パルマ」の名録音が再現されたかのような状態になりました。決して湿っぽくなることもなく、心を込めた温かい音楽が繰り広げられ、終始楽しい雰囲気でした。
そして、深夜になり登場して圧倒的な歌声を聞かせたベテラン、ゲイ・ウッズ。
そこからロック・バンド中心の音楽に変わっていき、前日のようなダンス・ミュージックの時間が3時頃まで続き、お客さんが引いた後は、ホテルのロビーでまたもや朝までミュージシャンが飲み続けるという状態。ダヌー、ダーヴィッシュの面々を中心に、この日はロビーで大セッション大会が繰り広げられ、宴は延々終わらないかのごとく朝の7時まで続いたのでした。。
11月30日(日)セッション、セッション、セッション・・・!

一大イベントの準備や演奏でみんなさぞかし疲れていると思いきや、ブライアンの話では、この日スライゴー市内の彼らのパブFurry'sで4時から(朝7時まで飲んでいた彼らには夕方4時という時間は決して遅くはないはず)セッションがあるとのこと。
行ってみると所狭しとお客さんが既に入っていてメンバーもやる気満々の様子です。
キャシー、ブライアン、リアム、トムを中心に、地元のミュージシャンや、元メンバーのシェーン・マッカリーアも参加して、まやもや壮絶なセッション大会となりました。
このあと、8:30からシェーンのご両親の結婚40周年記念パーティーが別のパブThe Harp Tavernであると聞き、行ってみるとまたもやそこはセッション大会。リアム、マイケル、シェーンをはじめとするミュージシャンが演奏していました。シェーンのお父さんの長〜いスピーチなどもあり、ほのぼのとした雰囲気のパーティーでした。

12月1日(月)空港へ
この日からダーヴィッシュが3日間イギリスでツアーがあるというので、ダブリンの空港まで一緒に車に便乗させていただくことになりました。キャシーにホテルに迎えに来ていただき、シェイマス、ブライアンと合流。荷物を積み込み、ブライアンの運転する車に乗り込みました。他のメンバーはあと2台に乗り込んで別々に空港へ向かったとのこと。10時のフライトなのに、スライゴーを出たのが6:30で、本当に間に合うの?と思っていた私ですが、やはり空港についたのは、離陸30分前、一番最後のシェーンとリアムの車が到着してチェック・インしたのが、なんと10分前でした。「来年、日本で会おう!」と言いながらもかなりあわただしいお別れでした。
スライゴーを訪れて、彼らがいかに土地や人々に密着した生活や音楽活動をしているのか知りましたが、何より驚いたのは、彼らが本当に演奏が好きだということ。まるで一日中楽器を離したくないかのようにさえ見えました。コンサートが終わってもセッションを楽しむことを決して止めないのですから、彼らの音楽を愛する気持ちとバイタリティーは本当に素晴らしいです。
また今回Finnの追悼イベントでスライゴーを訪れましたが、今もこのように多くの人たちに慕われるのは、それほど彼の人柄が多くの人を惹きつけたのだろうな、と感慨深い思いもありました。彼を失ったことを乗り越えたダーヴィッシュの音楽は最近更にスケール・アップしたように思います。来年、日本で彼らのその姿を見ることが出来るのが本当に楽しみです!!