4.共同体としてのダーヴィッシュ

Q)先程もブライアンさんが少し言われていましたが、ダーヴィッシュの音楽の特徴として、その演奏のスタイルはセッションを発展させたものの様に思います。具体的に言うと楽器のソロを延々と聞かせるというのではなくプレイヤー達がお互いに音を掛け合いながら音楽を作っている。これはやはり意図しての事でしょうか?

シェーン・ミッチェル(アコーディオン)写真提供:プランクトン

B)そうだ。私の意見では、やはり音楽はひとつの共同体(コミューン)から生まれるもので、社会的に皆で一緒に楽しむものだと思っている。「次は自分のソロの順番だ」と言った具合にエゴを出すのではなくてね。

Q)それと関係すると思いますが、ダーヴィッシュのまた非常にユニークな点は10年以上もやっているグループなのにメンバー・チェンジが非常に少ない事です。あなたは、グループの家族的な雰囲気といったものも大切だと考えている訳ですね?

B)そう思う。他のバンドでは往々にしてメンバーがどんどん交替していって次のツアーでは誰が出るか分からないといった事態に陥る事すらある。それでは音楽は上手くいかないだろう。バンド内の人間関係も大切なんだ。


リアム・ケリー(フルート)写真提供:プランクトン
                               
C)私達は、ツアー中もそうだけれどツアーから戻った後で、家でもお互いに会ったりしているので、これは珍しい事だと思うわ。普通はツアーで一月近く一緒に寝食を共にしていると顔も見たくなくなるかもしれないのだけれど私達の場合はそうじゃないの。
〔注:実際、長年活動を続けている、或る有名なアイリッシュ・グループの場合はツアー中でも一旦ステージを降りたらメンバー達は次のステージまで出来るだけ顔を合わせない様にしているといい、それがより良い演奏と長期の活動の秘訣だという。
これに対してダーヴィッシュの場合は、例えば東京でのアイリーン・アイヴァース・バンド達とのコンサートの後もメンバー達は夜更けまで無心にセッションに興じていたのだった。〕

Q)家族みたいにとても仲が良いのですね。

C)そうね。

シャイマス・オダウド
写真提供:プランクトン

Q)とはいえ、『ミッドサマーズ・ナイト』の時には若干のメンバーチェンジがあって、1人抜けて2人参加して7人編成になりましたね。経緯はともあれ、音楽的にはサウンドを厚くするとか、より迫力を出すといった意図があったのでしょうか?
〔注:シェーン・マカリーア(フィドル)が脱退して、シェイマス・オダウド(ギター、ヴォーカル、フィドル)とトム・モロウ(フィドル)の2人が参加した。〕

B)シェイマス・オダウドは私が20年前にスライゴーにやってきた時に最初に会ったミュージシャンだったんだ。彼はスライゴーでは非常に良く知られた存在だった。彼の父のジョー・オダウドは伝説的なアイリッシュ・フィドラーの一人で、沢山の曲を書いているよ。シェイマスはとても興味深いミュージシャンで、彼はファミリーの伝統音楽ばかりでなくロックやほかの音楽〔キャシーが「ブルースね」と口を挟む〕にも大いに関心を持っている。私達が最初に彼を知った時は、彼はロックやその他の事を沢山をやっていたので、その時は彼をグループに誘う事は思いつかなかった。しかしフィドルのシェーン・マカリーアがバンドを去る事になった時、シェイマスの事が最初に私の心に浮かんだのだ。スライゴーの出身だし加わるべき運命だった様な気がするね。彼はいつでも私達が一緒に演奏する仲間のミュージシャンの一人だったし。 

               
トム・モロウ 写真提供:プランクトン

 さて、彼が(最初フィドラーとして)グループに加わるととても上手くいったのだが、しかし彼はギタリストとしてもシンガーとしても非常に素晴らしいので、単にフィドラーとして扱うのは彼の能力を制限するものだ、という事に私達はすぐに気づいたんだ。それで彼には他の楽器も演奏して貰うとして、また別のフィドラーが必要になってトム・モロウを入れたという訳だ。トムも私達の長年の友人だったからね。...つまり自然にこうなったという訳なんだ。
                                                             
Q)よく分かりました。さてこの『ミッドサマーズ・ナイト』については子供を宿した母親を描いたジャケットの絵も非常に印象的ですが、これはどういう絵なのですか?

C)これは、ロビー・カドマン(Robbie Cadman) というスライゴーのローカル・アーティストがケルトの神話に基づいて描いたものなの。アイルランドの4つの地域を描いているのよ。

B)アルスター、マンスター、レンスター、コナハト...4つの地域にはそれぞれの川が走っていて、それぞれの木があり(ゲール語で木の名前が書いてある)、それぞれの鳥がいるんだ。

 
 
 

C)ケルトの神話では、アイルランドは子供を宿している女性で、東西南北のそれぞれの地域に7人の巡礼者達を送って何があるかを探させた事になっているの。...これは丁度私達7人のメンバーと一致するわ。
 もうひとつ、私達は最近スライゴーにシーラ・ナ・ギグ(Sheela Na Gig) というバーを開いたのだけれど、これは大昔の或る修道院の石の彫刻の名前なの。その彫刻は、このジャケットの絵の様な性器のある女性の彫刻で、アンチ女性のものなのかそれとも女性の味方のものなのか議論が起こったわ。でも私達は生と死と再生というポジティヴな意味に解釈したかった。その彫刻とこのジャケットの絵はコンセプトが一致していて繋がりを感じるわ。

Q)この絵はジャケットの為に依頼して描いて貰ったのですか?

C)というよりも、この画家とは以前から互いに知った仲だったので、全く任せたの。...かなり論議を醸したわね(笑)。

Q)そうでしょうねぇ(笑)。しかし音楽と同じくとても印象的ですね。
               

                                                                 

                   

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