3.シリー・シスターズ
Q:ジューン・テイバーとのシリー・シスターズの2枚のアルバムは色々な意味でエポック・メイキングなアルバムだったと思います。中でも76年のファースト・アルバム『MADDY
PRIOR & JUNE TABOR:SILLY SISTERS』は歌の素晴らしさに加えて偉大なミュージシャン達が参加していますね。ブリティッシュのミュージシャンとアイリッシュのミュージシャンが一緒に参加しているところが特に興味深い....。
〔写真10〕MADDY PRIOR & JUNE TABOR:SILLY SISTERS (英CHRYSALIS CHR1101,LP)

M:そう。ダニー・トンプソンにアンディー・アーヴァイン、ニック・ジョーンズ..
Q:で、これらのミュージシャンの起用のアイディアは誰が?
M:アンディやジューンとはこのアルバムの前に一緒にやっていたのよ。ブルガリアの音楽を特異なやり方でね。録音はないけれどステージで歌っていたの。だからこれはその結果の産物というわけなの。確かアーチー・フィッシャー(スコットランドの偉大なトラッド・フォーク・シンガー)は私たちが倍音で競う様に歌っているのを聞いて、犬の鳴き声みたいだって言ってたわ。私たちはほめ言葉と受けとったけれど。
Q:さて英国フォークの歴史上では、このアルバムは英国フォークのミュージシャンとアイリッシュのミュージシャンが一つのアルバムで一緒に演奏した最後の作品、遺産だと思います。
M:その通り。私たちは当時はそんな事は考えもしなかったのだけれど、この後はアイリッシュとブリティッシュは分かれてしまったわね。
Q:この後、アイリッシュ・ミュージシャンはアイリッシュだけ、ブリティッシュはブリティッシュだけを演奏する..という様になってしまいましたね。
M:そうですね。でも私たちはアイリッシュ・ミュージックを演奏する事に何も問題は無いのです。アイリッシュも同じ音楽(フォーク・ミュージック)の一部なのですから。何も分けるものなどはないわ。
Q:特に貴方は、以前から例えばジョニー・モイニハンやアンディー・アーヴァインなどのアイリッシュ・ミュージシャン達に親しんでいたからそう言われるのではないかと思うのですが...
M:まったくその通り。彼らとは以前からお互いに良く知り合っている友達だわ。
Q:貴方のファンとしての希望なのですが、どうかまたシリー・シスターズのアルバムを作って下さい。
M:そうねぇ。でもジューンと私は音楽上の方向性も違うし難しい点があるわ。だからシリー・シリターズのセカンド・アルバムを作った時は、このファースト・アルバムよりもっと難しかったのです。それで今の時点で考えると多分、選曲が問題ね。でももし可能ならばとは思います。私は決してやらないとは決して言えないわ。
Q:もう一つ希望なのですが、貴方とローズ(・ケンプ)で将来、シリー・シスターズの様なコーラスのアルバムをを是非作って欲しいのですが...
〔注:ローズ・ケンプはマディとリック・ケンプの間に生まれた娘さんで、現在シンガーとして活動しており、マディのライヴ盤『バラッズ&キャンドルズ』
(2000年作) などに参加している。〕
M:ローズね!実はローズと私は、もう一人キーボードとギターを演奏する女の子と一緒にやっているのよ。彼女の名前はアビー(Abbie
Lathe)だったわね。私たちは5月に仕事を計画しているの。完全に新しいことで全てアコースティックで基本的にはハーモニーの音楽をね。多分興味深いものになるでしょう。このアイデアは音楽をシンプルにするというものなの。男の子たち(多分、現在一緒にやっているトロイ達のことだろう)は素晴らしいけれど、一寸音楽が複雑になりすぎましたからね(笑)。だから、これはこれまでの自分の音楽とはまた全く違うものだわ。
Q:曲は自作曲なのでしょうか。それともトラデショナル?
M:ローズも曲を書いているし、トラデショナルもやるでしょう。まだ詳細は完全には決まっていないの..。私は今充分な時間がないし...
[注:この時は不覚にもマディ/ローズ/アビーですぐニュー・アルバムを制作するとは思わなかったのだが(マディの言う5月の仕事の予定とは録音の事だったようだ)
、この3人によるアルバムがつい先頃早くも英国でリリースされている。MADDY PRIOR & THE GIRLS :
BIB & TUCK というアルバムで、伴奏は必要最小限に抑えて3人のパワフルなコーラスを聞かせてくれる素晴らしい作品である。曲目はトラッ
ドからリック・ケンプの作品、更にはエルトン・ジョンやポール・サイモンの曲(!)まで取り上げられている。]
〔写真11〕MADDY PRIOR & THE GIRLS : BIB & TUCK (英PARK PRKCD61,CD)
